ブラジャーの素材について8・・・ラッセルレース2

さて、レースについてさらに話を進めて行きましょう。




 ラッセルレースを始めとする編みレースの特徴として「透明感がある」ということも使用する上において大きなポイントとなります。レースというものはその使用する主目的は「装飾用」ですから、とにかく「きれいに見える」ものでなくてはなりません。その点において前回で解説したエンブロイダリーレースは「豪華さ」においてその目的を達成することが多いのに比して、ラッセルレースなどの編みレースは素材の薄さによる「透け感」を武器にすることが一般的です。

 また一方、前回説明しましたエンブロイダリーレースとラッセルレースとが現在のブラジャー用レースの両雄となっていると言いましたが、エンブロイダリーレースにはかなり実現が難しい機能があります。

 それは「ストレッチ(伸縮)性」です。下着類、特にブラジャーなどのファンデーション衣料は伸ばして着用するものですから、レースに限らず素材のストレッチ性という機能はかなり大きな要素になっています。

 エンブロイダリーレースでは難しいと言うものの、ストレッチエンブロイダリーレースというものもあります。ただかなり少ない、というのはエンブというレースは前回も書きました通り基布を刺繍糸で縫って柄を出すものですから、どちらかというと基布の伸びを止めるような構造になっています。ですからいくら基布や刺繍糸を伸びるものを使っても限度がありますし、伸びを重視すれば今度は柄が美しくなくなってしまうなどの問題が出てくることがあります。

 その点ラッセルレースを始めとする編みレースは、「編み」という構造がそのまま伸びる構造になっていますからストレッチ性を持たせ易いレースです。

 このストレッチ機能のポイントとなるのは「パワーネット」素材のところで説明しました「ポリウレタン」糸です。レース素材の場合にはそれほどパワー(伸縮する力)は必要ではないのでパワーネット素材よりはずっと細い、つまり力が弱いポリウレタン糸を使っております。そして、現在ブラジャー他のインナーウエア用として使われているラッセルレースのほとんどは「ストレッチラッセルレース」です。

 さて以上、簡単にラッセルレースの特徴を説明させていただきましたが、なんと言ってもレース素材の真髄は「美しさ、装飾性」にあります。製造方法や編み組織などはともかく、最終的にはこの判断基準で採用されるかどうかが決められると言うことになると思います。

 今、お店で販売されているブラジャーに使われているレースは前回のエンブロイダリーレースか今回のラッセルレースがほとんどだと思いますが、その使い分けはまずは装飾性、そしてその後にストレッチ性があるかどうかの機能性、コスト、手当て出来るかどうかの日程、他社やトレンドの流れ等等の背景を考慮しつつ決定されることになります。


レースの種類にはこの他にもいろいろありますが、長くなりますのでレース素材については今回で終了し、次回は縁の下の力持ちのストレッチテープ素材について解説させていただきます。
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ブラジャーの素材について 7・・・ラッセルレース1

ラッセルレースの例

話を元に戻して、レースのもうひとつの主要な種類である「ラッセルレース」についてお話しましょう。




 「ラッセルレース」の名はラッシェルという人によって製作されたレース編み機に由来しています。つまり産業革命以降に生み出されたレースです。このレースの組織上の特徴といえば「編みによるレースである」ということです。したがって製品としてのレースの生産は比較的効率的である反面、複雑な柄表現は苦手であるといえましょう。

一般に良く使われているラッセルレースの例としてはカーテン用のレースがあります。やや透けて見える柄レースはカーテンとしてよく使われていますが、柄はかなり大柄で粗く、繊細さと言った言葉には当てはまりません。

 基本的には大量生産に適したレースで、細かい柄表現は苦手な反面、コスト的には安くできるといったメリットがあります。


 ただし、それはあくまでも基本的な話で昨今の技術革新により、非常にすばらしいラッセルレースも作られるようになりました。
 現在、工業生産用に使われるレースのうちで最高のものと言われるレースは「リーバーレース」と言う種類のレースですが、最近のラッセルレースはこのリ-バーレースに非常に近い、細かな柄表現が出来るようになっています。

 柄において良いものができるようになれば、レース生産上においては他のレースに比べて大変効率の良いものですから、現在のようなコスト重視の店頭においては大きなメリットを持つようになります。そうしたことから現在の店頭にあるブラジャーに使われているレースとしては、エンブロイダリーレースとシェアを二分している状況にあります。





次回はラッセルレースの話の続きです。

「 レースは身を滅ぼす 」?

<コラム> 「レースは身を滅ぼす」?




 まだレースについての話も始まったばかりですが、ここで一休みしてと言うか、皆さんがレースにのめりこんでしまう前に忠告があります。
 それは題字にも書いたとおり「レースは身を滅ぼす」可能性が高いということです。

 レースは数ある衣料品素材の中でも最も魅惑的な素材であると言えるでしょう。少なくとも私はそう思っています。即ち、「魅惑的なレースは接すれば接するほどさらに磨きがかかり、見る人を捕らえて放さない」状況に引き込まれてしまいます。過去においてはそれゆえにレースに対して高価な代償を払い、身を滅ぼしたという事実もあります。それほど「レースはすばらしいもの」です。

 またその逆に、みすぼらしいレースはより一層みすぼらしく見えます。みすぼらしいレースほどみすぼらしいものはありません。レースの世界においては「美しいものが勝つ」のです。


 以上は「レースを鑑賞する」立場からの「身を滅ぼす」話だったわけですが、次にレースを購入して商品に使う会社を経営している人の立場に立ってみたらどうでしょう。
 このようなきれいなレースの値段が安いはずがありません。レースの値段とその美しさとは正比例するといって良いでしょう。
 デザイナーさんは皆美しい(=高価な)レースを使いたがります。商品を作るために、まずそのレースを購入するときに経営者は高い代金を支払わなくてはなりません。ただ、それだけならば商品が売れたときにレース代金も一緒に回収できるのですから問題はありません。

 悲惨なのは、商品が思ったように売れなかったときやレース素材が使われずに残ってしまったときです。これらはいつまでたっても支払った金は戻ってきません。しかもその額が大きい!

 こうして会社全体が、レースのために破滅してゆく、そこまで行かなくとも非常に経営が苦しくなるということが現実に数多く見られます。

 真のクリエイターたるにはこのレースの例のように、自らの思い入れだけで行動するとそのうちに全体が滅んでしまい、自らもまたその犠牲になってしまうということもあり得るということも頭において置いたほうが良いと思います。


ことほど左様に、レースにはその魅力に取り付かれ過ぎないようご注意ください。
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