「パワーネット」って?

パワーネット生地の拡大写真

<コラム> 「パワーネット」って?




 前回のブログですぐに「パワーネット」の説明・・と入っていきましたが、「パワーネット」って何?と聞かれそうなのでブログの順が後先になりましたが、パワーネット生地の説明を簡単にさせてもらいます。

生地の表面はこのブログに拡大写真を添付していますので一度見てみてください。

見たことのある生地ですか?

 ブラジャーの脇布などにはよく使われているのですが、生地をたくさん売っている生地屋さんで探してもあまり見かけることのない生地ですので、見たことがないと言う方もおられると思います。
 それに、パワーネットもいろいろな種類があって、写真のような顔をしているのはその中の代表的な一部のパワーネット生地です。

 写真で説明すると、ヨコ方向に少し太めのスジが走っていますね。これが伸び縮みの働きをするポリウレタン糸が入っている所です。ポリウレタン糸は糸自体が太く、この糸だけではうまく生地が編めないので、糸の周りを細い別の糸でカバーしてあり、外からは直接ポリウレタン糸は見えません。
 次に、ポリウレタン糸と直角方向(写真では上下方向)にやや細い糸が、カバーされたポリウレタン糸同士をハシゴのように結んでいます。これらの糸は伸び縮みはしない合繊糸で、パワーネット生地全体の構造を形作っています。
つまりパワーネット生地の構造は、
細めの合繊糸で作られた網目(ネット)の中に、伸び縮みするポリウレタン糸を差し込んでいる
 というような構造が基本になっています。

 現在のパワーネット生地は、伸び縮みの仕方や表面のきれいさ等を目標にいろいろな変化編み構造のものがいろいろと考え出されていて、どんどんと高機能な生地が出現しています。そのため、見た目も写真にあるような表面のものは少なくなって来ているようです。



以上のような簡単な説明ではなかなか分かりづらいかもしれませんが、次回からの説明で少しづつ理解を深めて行ってください。
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「ブラジャーの素材について 3」・・・パワーネット

前置きが長かったですが、今回から具体的にブラジャーに使われている主な素材についてご紹介して行きたいと思います。



 まず始めは「パワーネット」と呼ばれる素材です。あまりなじみの無い素材だと思いますので、初めて聞く名前と言われる方も多いのではないでしょうか。

 ブラジャーを見たとき一番先に目に入るのは、レースのような装飾用の素材ですが、それを置いてまず「パワーネット」から始めると言うのは、この素材がブラジャー製品の特質を左右する素材であって、もっともキーポイントとなる素材であるからです。ブラジャー以外のファンデーション製品(例えばガードルやボディスーツなど)においてもその重要性はまったく変わりません。

 この素材の特徴を簡単に言えば
弾性糸を編み込むことによって、ストレッチ性(伸び)とキックバック性(戻り)とを兼ね備えた素材」ということになるでしょうか。
そしてこの事こそが、ブラジャーを含めたファンデーション商品の命である「ホールドし、造形して行く」という機能に不可欠な条件となります。

 パワーネット素材の鍵を握るのは上記の「弾性糸」ということになりますが、この糸の組成は普通「ポリウレタン」というものです。昔はゴム糸が使われていたこともありましたが、ゴム糸は輪ゴムの例を見ても分かるように使っているうちに伸びきってしまってヨレヨレになってしまうし、さらに進めばボロボロになって切れてしまいます。
 ポリウレタンはそうしたゴムの物理的欠点を補って完成した糸だと言えると思います。一番基本的なパワーネット生地ではこのポリウレタン糸とナイロンかポリエステルの糸とで編んでいることが多いです。




次回は続いてパワーネットについてもう少し詳しく解説します。

「素材」と「資材」

<コラム> 「素材」と「資材」



ブラジャーに使われる素材についての詳しい話をする前に、ちょっとここで「素材」という言葉と「資材」という言葉との違いについて説明しておこうと思います。

結論から言えば「どちらも同じ」です。

ではどういう使い分けをすることが多いのかといえば
「素材」はどちらかというと企画部門で使われることが多い単語であるのに対して
「資材」はどちらかというと生産部門や生産管理部門など、商品の内容が決定後の段階で使われることが多いです。

例えば、デザイナーさんはこういう風に言う事が多いです。
 「この素材はどこのメーカーのもの?」、「今シーズンのトレンド素材を組み合わせました。」、「このストレッチ素材用のパターンを引いてください。」などなど

一方で、工場の生産管理をしている担当者や資材の手配をする担当者はこういう風に言っている事を良く耳にします。
 「この資材はどこのメーカーから仕入れているの?」、「今シーズンの企画はレース資材使いが多いね。」、「資材に合ったパターンじゃなかったから製品クレームになった。」などなど

こんな具合に表現が違うことが多いです。
つまり「素材」という言葉には「これからどう料理してやろうか?」というような、クリエーションの源である的な気持ちが、
「資材」という言葉にはすでに確定した製品用の部品の一つであるという気持ち

そこに表れているような感じがします。

ですからクリエイターの方はいつも、他から使用を強要された「資材」ではなく、自分がこれから磨き上げる「素材」として生地たちと接してください。

ところで、偶然今、上で使った「製品」という言葉に類する言葉で「商品」という言い方も聞いたことがあるでしょう。このニュアンスの違いも後でコラムしようと思いますが、立場の違いによる表現の違いはいろいろあるように思います。



では次からは本当に「素材」の話しに入ります。

ブラジャーの素材について 2

ここで先に書きました「ロット」という言葉について簡単に説明しておきます。
 これは「作業する時のまとめ量」とでも言いましょうか。ブラジャーをはじめとする現代の商品生産は工業生産が大前提となっており、その基本は大量生産です。そのため、効率上1つ1つごとに生産するという方法ではなく、何個かをまとめて一度に加工するという方法が取るのが一般的となっています。

 その時のまとめる量が「ロット」で、ブラジャーなどの下着類はアウターウエアに比べてかなり大きな数量になるのが普通です。また、生地など素材の加工に際しても「ロット」がいつも顔を出してきます。生地を編むという加工では10mとか20mとかの量ではとても編み立て加工は出来ず、生地の種類にもよりますが何百mから何千mくらいの発注が無ければ加工にかかれません。
 下着類は使用する生地の面積が比較的小さいので、同じ量の生地を発注するにはより多くの商品を作らなくてはならず、売りさばける力がないと生地を余らせてしまうか、その生地の使用を断念してもっと少ないロットで作れる生地を探しなおすしかない、という事態に陥ってしまうことになってしまいます。

さらに、これは重要なことなのでまた項を設けて説明しますが、昨今ますます激しさを増しているコストダウンの強烈な嵐も非常に影響が大きい要素です。

つまり、ブラジャー用の素材はかなりきつい条件の下で、素材メーカーも製品メーカーも共に試行錯誤しつつ、何とかものづくりができるノウハウを築き上げてきたという流れになっています。




次回からはブラジャーに使われる主な素材についてひとつずつ解説してゆきたいと思います。

ブラジャーの素材について 1

「ブラジャーの素材について 1」・・・素材の条件と現状




いよいよブラジャーの話も本論に入りつつあります。説明下手もあって分かりづらい点が多くなるかもしれませんがあきらめずに最後まで読んで下さい。

皆さんは、一般的なブラジャーの場合、何種類くらいの素材で構成されているとお思いですか?
当然、製品のデザインや目的などによって違いますが20から30種類くらいというところでしょうか。あの小さい面積の中で結構沢山の種類の素材が使われています。

 以前のコラムでも書きましたが、ブラジャービジネスで成功するのは難しい という理由のひとつとして素材の種類が多いということも大きな要因だと思います。しかも面積がアウターウエアなどと比べてとても小さいので使用量が少なくなります。この事は後で述べる「ロット」と呼ばれる素材の製造、加工条件にマッチしないことが多くなり、思わぬコスト高、納期遅れなどにつながり、経営者の悩みの種となってくるのです。

 同時に「品質」と言われる素材の安定性、安全性に関係する事項も大切です。ブラジャーなどの下着衣類は、アウターウエアに比べて衣料としての寿命期間における洗濯回数なども圧倒的に多く、またその扱いもぞんざいにされます。例えば一般的にブラジャーの洗濯方法としてメーカーで指定するのは「手洗い」と呼ばれる方法で、洗濯機を使用せずに 「ぬるま湯に洗濯物を入れ、手でもみ洗いをしてください」という洗濯方法ですが、どれほどの人が実際にこの方法で洗っているでしょうか?しかし、メーカーの指定方法でなく、洗濯機を使って洗濯をして、もし製品が破れたりしたような場合でもメーカーは「お客様のご無理ごもっとも」と平身低頭で謝らなければなりません。そういう事もあってか、かなり素材ひとつひとつの設計強度も十分な余裕を持たせなければならないということになります。





次回に続きます。
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