ブラジャーに関係する仕事

1月も最後になりました。
今回はちょっとブラジャーの説明から外れ、一息入れて関連する話題を書いて行こうと思います。



現在、私たちはブラジャーやそれとペアとなるショーツやキャミソールなどのパターンメーキングを請け負う仕事も一部でしています。パターンメーキングというのは商品を縫製する前に生地を裁断する型紙(パターン)を作る作業のこととイメージしてください。
 仕事を出していただける会社は何社かありますが、大体はその会社側からデザインが出て、それをまずサンプルとして縫製してもらうためのパターン(見本用パターンとかファーストパターンなどと言います)をこちらで作成し、必要に応じてその後修正します。そしてその商品の販売が決定すれば、本生産用パターンなどと言って、販売する全てのサイズのパターンを作成(グレーディング作業と言います)し、要請があれば工場で生産するときに必要な縫製仕様書なども同時に作成して、その会社に納品する という段取りになります。
 パターンを作る作業(その作業をする人をパターンナーと呼びますが)をしているといろいろ感じることがありますが、その一つとして「デザインは前のと違うけどパターンは一緒じゃないか」という思いがあります。ブラジャーは特にそれに使う素材の性質によってパターンを調整したりしなければならないので、厳密に言えば全てパターンは違うのですが、基本となるパターン(原型などと言ったりしますが)が同じという意味です。
 つまりパターンは一緒ですが素材を変えたり、レースを変えたり、色を変えたりして新しい商品に生まれ変わらせようとしているんです。それ自体は、悪いことでもなく間違ったことでもありません。ただ、ブラウスやスカートなどといったアウターウエアでしたら当然に行われるこの方法もブラジャー創りに関しては、こればっかりやっていたら脳が無いよね と感じます。

 なぜかと言えば、これまでのブログでブラジャーの機能について概要を説明させていただきましたが、レースを変えるというようなことなどは、ブラジャーの機能を新しく改善する(新製品となる)ということには結びつかないからです。
 世の中にはいろいろな商品を作り出している会社や個人がおられますが、例えば携帯電話を商品化しているメーカーが、機能は変えずに携帯の色や柄だけを変えただけで、新製品として評価されるでしょうか?競争の激しい今、例えば「もっと軽く小さくなりました」とか「着メロがすぐにダウンロードできる」とか「ワンセグ対応」とか次々と新しい機能を提案してきています。その新機能が評価されるかどうかはまた別の問題ですが、少なくとも「新製品」というからには新しい機能の提案がなければ何のための新製品かが分かりません。
 ブラジャーだったらその機能を左右する大きな一つは「パターン」です。

パターンを軽視し続ける傾向が続くならば、日本のブラジャー産業は先行きが非常に不安です。



次のブログもお楽しみに!
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ブラジャーの定義 まとめ

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長々とした説明を読んでいただいてありがとうございました。
今回でブラジャーの定義については最後です。




ブラジャーはファウンデーション・ガーメンツ」という話ですが


前回まで書いてきたように、ブラジャーに期待される仕事(機能)は「乳房をホールドしてからきれいに造形することによってボディラインを美しく整える」というものでした。
そのために美しい装いの基礎を造る事から、「ファウンデーション(基礎・土台)・ガーメンツ(衣服)」と呼ばれます。略して「ファンデーション」と呼ばれることの方が多いかもしれません。
略称「ファンデーション」はボディラインを整えるための衣料ですから、ブラジャー以外でも

ヒップ部を整えるための「ガードル」
体全体を整えるための「ボディスーツ」

その他いろいろなファンデーション・ガーメンツが存在します。

同類のような衣類でも、ショーツとか直接肌の上に着てもタンクトップ・Tシャツなどはファンデーションとは言いません。整える働きがないからです。

以上、かなり大雑把にブラジャーについてお話しましたがお分かりいただけたでしょうか?もしご質問などがありましたらお知らせください。私もまだまだ勉強が足りませんので分かる範囲でお答えさせていただきますので。




それでは次回からは視点を変えて,またブラジャーのことについてお話していきたいと思います。

ブラジャーとは? 4

長くなってすみません。 前回の続きです。



「ボディラインを整え、
着装時トータルの美しさを演出するための衣類」


これがブラジャーをはじめとするファンデーションと呼ばれる衣類の目的機能です。すばらしいドレスを着用した場合でも全体のシルエットがキチっとしていなければ、「だらしない」格好になってしまいます。女性の場合、シルエットの良し悪しに大きく影響を与えるのはバストラインですから、ブラジャーはこのバストラインを整えるという目的のために使われています。

前回の話を繰り返しますが、乳房には一般に次のような性質があります。これは前回の「水を入れた風船」の話でイメージしてください。
1.乳房は下へ垂れる
2.乳房は体の真正面を向いているのでなく、外方を向いている


1.のためにはまず、「上へ持ち上げ」なければなりません。
2.もだらしないシルエットの原因となりますので「中央側に寄せ」なければなりません。

よく聞かれる「寄せて上げる」という意味がここにあるというお話です。

このようにブラジャーをはじめとするファンデーションと呼ばれる衣類は、アウターウエア(外衣)のために働いている召使のような役割を担っています。縁の下の力持ちです。ファウンデーション衣料(体の基礎シルエットを造形する)と呼ばれているのはそのためなのです。



次回もう一回辛抱して聞いてください。

乳房をホールドし、美しく形造る

ブラジャーの定義解説をさらに続けます。


乳房をホールドし、美しく形造る・・・」



乳房というものは簡単に言えば、脂肪のたまった袋であって、中身は流体状のためあのように柔らかく自由に変形します。その脂肪量は各人さまざまですので、良くご存知のように乳房の大きい人や小さい人がいるということになります。


流体状ということは、わかりやすく説明しようとすれば「水が風船の中に入っている」というようなイメージをして下さい。水は重力によって地面に向かって引っ張られ、それを覆う風船の皮のような皮膚はかなり自由に伸縮するものですから、普通に立っている時の乳房は、一般に水のしずくのような下部が球状になった形になります。図1をご覧ください。



図1 横から見た乳房の形状

また体を頭上から見た場合、乳房は体の正面に対して開いていく向きになっています。図2をご覧ください。ですから、乳房が大きい人ほど体から脇方向へはみ出して行き、現代の社会通念から見るとそのままでは「だらしない」シルエットになり勝ちと言えます。



図2 乳房を頭上から見た場合

人によって、大きさだけでなく乳房の形状も千差万別です。また同じ人でも体調や精神状態、また加齢によって変化します。その原因は上述の「水」と「風船」の状態をイメージすると理解されやすいのではないかと思います。すなわち「乳房は不定形で捕らえ難いもの」であるという事です。




以上の理由から、ブラジャーのまず第一番目にしなければならないことは、「捕らえどころの無い乳房をまず捕らえて確保する」という仕事なんです。これが「ホールドする」という意味です。

そして次に、これはブラジャーを着用する最終目的になるんですが、そのホールドした乳房を「きれいな(と社会通念的に考えられている)形状に、力を加えて形造る」という仕事をしなければなりません。



これらの事によりブラジャーはいよいよ最終目的へ進んでいきます。





まだまだ続きます。

「ブラジャー」とは? 2

ブラジャーの定義解説の続きです。



インナーウエアであって・・・」 


「インナーウエア」とは何でしょう?読んで字のごとく「下着」のことです。内側に着るからインナーウエアと呼びます。逆に外側(体から一番離れて)に着る衣料は「アウターウエア」と呼ばれます。


ただこれらも厳密な表現ではなく、例えば若い女性が良く着ているのを見かける「キャミソール」は、上に何も羽織らず外に出して着ていれば「アウターウエア」でしょうし、上にニットなどを着用していれば「インナー」ということになります。でもここでは狭義の意味としての「肌着、下着」と漠然と捕らえてください。


インナーウエアの歴史などを掘り下げて行くととても難しく、では最初のインナーウエアは何だったのか?という疑問に対して、例えばアダムとイヴのいちぢくの葉っぱだと言うと、これは上に何も着用していないからアウターウエアだなどということになったり、なかなか難しい話になります。


アウターウエアの歴史を書いた本はいろいろ拝見したことがありますが、インナーウエアのそれは特に古い時期のものを記述した本にはお目にかかったことがありません。もしご存知でしたら紹介してください。たいていの下着の歴史では中世のコルセットの登場くらいからということが多いように思いました。


さて本題に戻って、なぜブラジャーがインナーウエアであるというのかというと
1.普通はアウターウエアとして着用されることはない。
2.そして肌着、下着の機能としての体との直接のやりとり機能を備えている
というようなことです。


1.はお分かりになると思いますが2.はやや複雑です。
ざっと説明しますと、肌着、下着は直接に肌に触れて着用することがほとんどなので、肌は肌着に作用を及ぼし、逆に肌着は肌に作用を及ぼしています。これが上記の「やりとり」の意味です。例えば肌の表面からは不感蒸泄といってそれほど暑くないときでも少しずつ汗をかいて体温調節をしています。もし肌に接している肌着がこの霧状の汗を通さない、極端な話ビニールシートのようなものでできていたとしたら体の正常な代謝が不可能になり、まずは不快になり次に病的症状が出てくることでしょう。
そうならないよう肌着はその汗を吸収または発散する機能を備えていなければなりません。
また、逆に肌着も何らかの繊維で作られているでしょうからその繊維が肌に対して極端に言えばアレルギー反応を起こしてしまったら大変です。
それにブラジャーの場合、後で書きますが「体を締め付けて着用する構造」になっていますから、肌に対する影響力はより強いものになってしまいます。


これらのインナーウエアの機能についての話は長くかかるので、もうこのあたりで切り上げたいと思います。


ただ、以上のような点から「ブラジャーはインナーウエアである」という意味がお分かりいただけたでしょうか?




さらに次回に続きます。

「ブラジャー」とは? 1

先に書いたブラジャーの定義をもう少し詳しく見て見ましょう。


「ブラジャー」とは


女性用の衣料であって・・・」  当たり前のようで、実はとっても重要なポイントです


このことは、次回に書く予定でいる、ブラジャーの本質に近い大切なレベルの話なんです。実は女性(男性でもいいんですけど)専用の機能を持つ衣料品というのは非常に少ないと思います。

例えば現代社会の中で女性用衣料の代表的な「スカート」でも、男性が着用した場合ても衣服の機能としては全く問題がないんです。「恥ずかしい」「誰も着ていない」「笑われる」などの反論は社会学的な立場によるもので、衣服としての機能面から言えば男性が着用しても、女性が着用したときと同様にちゃんとその機能を果たしています。


ではなぜ「ブラジャー」は男性が着用したときにはその衣服としての機能を果たせていないのでしょうか。

もうお分かりかもしれませんが、「男性は乳房が突出しておらず、ボディ(体躯)と一体化しているから」です。


ですから、男性でもいつもブラジャーを普通に着用している人がいるとか男性用のブラジャーが売れているなどと聞きますが、体型的に女性のように乳房が突出していない人であれば、それは単なる「飾り」としてのアクセサリーのようなものであって、衣服としての機能を果たしているとは言えません。




では次回はブラジャーの本質となる機能について書いてみようと思います。

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