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ゼネバ・ストップ

だいぶ更新の日数が空いてしまいました。専門学校の講義準備のバタバタが一番の原因です。やはり初めてアパレル、そしてランジェリーに接する人のガイドはかなり難しい!


これまで何回かに分けて「SOLID WORKS」のブラジャーパターンへの応用例を書いてきましたが、実は筆者が習ったSOLID WORKSソフトの目的は3Dプリンターへの活用なんですね。

 最近は「3Dプリンター」ブームも下火になったのかマスコミの報道も少なくなってきましたが、教えていただいた先生方、企業の方々など3Dプリンターを良く知っている人のお話しの内容からは、「今後伸びて行く機器」だとか「将来性があり活用価値のある機器」であるとかとはあまり考えておられなくて、「何で今さらこんなものを騒ぎ立てるんだ?昔からあるじゃないか」という心持ちが強く感じ取れました。確かに3Dプリンターに関係する特許はかなりの部分でもう期限切れになっていて、それだからこそ自由に開発、販売が最近になって盛んになってきたのかもしれません。

 ただ、筆者は3Dプリンターが既知の物であれどうであれ、密かに創作したいものがあるんです。
 先生方は説明の間、「3Dプリンター」という用語をほとんど使いません。代わりに「R.P.」つまり「RAPID PROTOTYPING(即時試作化機器)に活用する「積層造形式加工装置」などと言われます。
 確かに金属ブロックを削って彫刻作品のように加工する切削造形式加工装置については旋盤などのように筆者でもすぐに頭に浮かぶのですが、それらに対して何も無いところに粘土細工のように付け加えながら物の形を作って行く機器と言うことなのでしょう。それが切削式に対して積層式と呼ばれる所以らしいです。

 一方で「R.P.」と呼ばれる機能はとてもすばらしい言葉で、筆者のランジェリースタジオのように「サンプルを早く作れ!」と要求される部門にはピッタリで、「簡単に早く」見本が作れるということです。

これをブラジャーに活用してやろうというのが筆者の意図です。詳しくは秘密ですので触れません。

 ご参考に今回の3Dプリンターセミナーで作った「ゼネバ・ストップ」装置をYouTubeでご覧に入れます。「ゼネバ」とはジュネーブのことで古くから使われてきた間欠動力伝達機構との事。こちらで3Dデータも入手できるようです。

         

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3DCADソフトのブラジャー設計への活用 11

今回、「SOLID WORKS」を使った3DCADを指向した目的をお話しておきましょう。

     IMG_20150825_084812_20151028072224196.jpg


それは物体の応力解析に「SOLID WORKS」を活用してみようと思ったからです。

 つまり、ある物体に力を加えた時にその内部でどのような力(応力)が及ぼし合う状態になっているのかを見てみようと思ったからです。3DCADでパターンメーキングをするだけでしたらこのような機能は必要ないし、解析も出来ません。それは普通の3DCADソフトがサーフェスモデラーであることもその理由です。外側の形状だけならサーフェスモデラーソフトで作図してもソリッドモデラーソフトで作図しても変わりはないのですが、こうした物体の丈夫さ、物性を推し量るためには中身が詰まったソリッドモデラーソフトでなくては不可能です。

 まあ、パターンナーが自分がパターンを引いたブラジャーの後身の応力状態がどうなんだろう?と言う場面があるかどうかは分かりませんが、筆者の前にこの「SOLID WORKS」が現われた時、「よし、応力解析をやってやろう」と考え始めました。
そういう理由で長々とこの「SOLID WORKS」の話を続けて来た訳ですがいよいよ最終段階に入りました。


 さあ、それではまず前回作成したブラジャーの後身の3D図面を出してきます。

 次にこの後身の材質を決めます。普通ならばブラジャーの後身はたいてい「パワーネット」生地になりますが、この機械設計系の「SOLID WORKS」の材質選択肢の中には当然のことながら「繊維」系の名称は出てきません。繊維素材で出来た機械なんて見たこと無いですからね。そこで仕方なく「鋼板」を選びました。応力値は繊維とは違ってきますが、応力の傾向を知るだけなら鋼板でもパワーネットでも一緒だろという荒っぽい考え方です。

 その次にこの鋼板で出来た後身を「メッシュ」に分割します。要するに非常に細かいパーツに内部を分けるという事です。今回の解析法は「有限要素法」というらしく、つまり細分化した要素ごとの内部応力を知り、それらをトータル化して全体のひずみ状態を知るという段取りです。

 そしてこの後身の一方の端(今回は前側にしてみました)を固定化して動かないようにし、他の端(今回は背フックの付く後側です)を引っ張ると内部のひずみ具合がどのようになるのかと言うことがカラーで表示され、どの辺りに大きな力がかかりやすいのかが分かると言う仕組みです。
 それを実行したのが下のYouTube動画です。何か金魚の尾のようにブラジャーのフックが付く部分が左右に振れているように見えるかもしれませんが、ここで3Dのグリグリで画像を回転してみると左右には振れていないことが分かります。
     

 これで見るとやっぱり後端の細い部分、そしてアンダーバスト辺の辺りに大きな力がかかっているようですね。ですからこの辺りの縫い仕様はしっかりしておかないと糸切れ、生地破れ、劣化に繋がるという推測が出来ます。

 今回は後身だけでやってみましたがブラジャーの色々なパーツで同様にテストしてみると縫い仕様が効果的に理論的に適用できそうですね。

 という訳で、とても面白いお遊びが出来て満足しています。

3DCADソフトのブラジャー設計への活用 10

アパレル3DCADには「サーフェス・モデラー」ソフトのほうが適していると書きましたが、それでもここではあえて「ソリッド・モデラー」たる「SOLID WORKS」を使ってみます。

      DSC_0308_20150930203919366.jpg


 「サーフェス・モデラー」でも「ソリッド・モデラー」でも立体を作る際の作業工程は、まず2D(フラット)の状態で断面図を描き、しかる後にその2Dスケッチを、「押し出し」たり「回転」させたりして立体化して行くというものです。

 前回までにブラジャーの後身の2Dスケッチは完成しているのでそれを「押し出し」て3Dの立体にして見ます。
その押し出し量ですが今回は1mmとしてみました。
 布の厚さで1mmもある生地は滅多に無いと思いますがここでは別の目的があるので余りこだわらず、1mmに設定してみたのです。

 こうして1mm厚の後身を造ったのが上の写真です。

 でもこれでは本当に3Dになっているのかどうかが分かりにくいので、下の YouTube動画でグリグリ状況を掲示してみました。
 
   

 確かに3D立体になっているのが分かりますよね。

3DCADソフトのブラジャー設計への活用 9

一応、2Dのフラットな状態で描いたブラジャーの後身の製図を3Dに立体化してみましょう。
  DSC_0308_20150930203919366.jpg



 その前に今回使っている「SOLID WORKS」のような3Dデータを扱うソフトには色々な種類のものがあってそれぞれ特徴があると言うことを話しておかなければなりません。そうでないとなぜわざわざアパレルではまったく使われていない(と思われる)SOLID WORKSを持ち出してきたのかと言うことが分かりにくいと思います。

 3Dソフトの機能の中で「モデリング」機能と言うものがあります。文字通り「形作る」機能な訳ですが、このモデリングについてはソフトによって何種類かの仕様の違いが有り、大きく分けると「サーフェイス・モデラー」機能を持つソフトと「ソリッド・モデラー」機能を持つソフトとに分かれます。この他にもワイヤーモデラーとかポリゴンモデラーとかがあるようですが、ここでは3DCADで話の分かれ目となる上記の2種類のモデリング機能に絞って話を進めます。

 「サーフェイス・モデラー」として機能するソフトでは「表面」と言う意味の通り3D化された物体の表面(の形状)にのみ着目したものであり、「ソリッド・モデラー」では「固体」と言う意味の通り表面を含めた「中身」をも勘案して動かすものであると言う区別になります。
 例えて言えば球状の3Dモデルを造ろうとした時、「サーフェス・モデラー」は紙風船で作った様な球をモデリングをする(紙でももちろん厚みがあるのですが、厚みを0と考えた場合です)ソフトだし、「ソリッド・モデラー」では砲丸のように中まで全部詰まった球をモデリングするソフトと言えましょう。

それで「SOLID WORKS」はどちらに属するのかと言えばその名に示す通り「ソリッド・モデラー」と言うことになります。ですから中身が詰まったブラジャーのパターンを作るというソフトだということですね。

 しかし、特に今でもアパレルCADを3D的に使っている方々は変だと感じられませんか?アパレルCADの使用目的はコンピューターの助けを借りながら衣服のパターンを作成すること、ということは例えば厚みが0の紙で衣服を作った時にそのパターンが美しい表現が出来るのか?着心地は?生産がしやすいか?などと言うことで、その紙が厚さを持ったソリッドなものと考えるということはかえってパターンの巧拙の判断を誤らせると思われるのではないでしょうか?

 つまり3Dでパターン・メーキングするアパレルCADとしては「サーフェス・モデラー」機能を持つソフトのほうが適していると言うことです。


3DCADソフトのブラジャー設計への活用 8

まずブラジャーの後身をこの「SOLID WORKS」で描いてみましょう。

 一般に使われているアパレルCADソフトと違い、TIIP dxfで以前のデータを取り込むとか、スキャナーでパターン図をスキャンするとか自由曲線を駆使してキャンパス上に描くとかいうことはこのSOLID WORKSでは困難になります。あくまでも機械製図用ですから数値データで大枠の形状を描き、次に細かいライン修正をして行くと言うことになります。ただし、そのライン修正も前回、前々回でお話したスプライン曲線になっていますから微妙で流れるようなラインを引こうと思ってもなかなか難しそうです。

 そうした事もあって比較的単純な形状をしている「ブラジャーの後身」パーツを取り上げてみました。このパーツは多くの場合、長方形的というか台形を横に倒したような形状を採ることが多く、このSOLID WORKSソフトでも描きやすいパーツであると思います。


 まず元形となるブラジャー製図を見ながら適当に長方的な図を描いてみます。左右の上下方向の辺は直線ですので始点と終点との2点を取って線を描けば良いのですが、水平方向の辺はカーブになりますので始点と終点との間に少なくとも1点の中間点を取り、跡でカーブの具合を調整できるようにしておきます。
それが下の写真です。
    DSC_0305_20150930203915658.jpg


 これではブラジャーの後身パーツとしては一見して適当だとは言えない形状ですから、次に各辺の寸法を指定してやって形状を合わせて行きます。元型の製図上の寸法を測りながらそれを画面上の長方形の各辺に当てはめてやると下の写真でご覧のとおり後身パーツの形状に近くなって来ました。
       DSC_0306_20150930203917737.jpg

これをさらに上下辺の中間点の位置を調整してカーブの具合を元図に合わせて修正してゆきます。


 さあ何とか近い形になりました。ただこれだけでは普通の2DCADと一緒ですから、いよいよ次回から3DCADたる立体化を進めて行きたいと思います。

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