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愛用のソーイング・マシン 6

8月も最終週に入って、世の中「夏も終了」モード。暑さも早く行ってしまってくれれば良いのに・・

    縫い上がったカップの立体性



 前回の話の通り、ニーレバーは特にブラジャーソーイングでは必要不可欠の装置なんです。ですからもしあなたがこれから新しくミシンを買おうと考えているのであれば絶対にニーレバー付のミシンを選ばれることをお薦めします。ニーレバーが付けられるかどうかはミシンの右下部辺りに穴が開いているかどうかで目安が付けられます。


         手で押さえを上げる

 もし自分の持っているミシンがニーレバーが付けられないタイプだったらどうしましょう?押さえは通常は手で上げられます。その手で上げるレバーの位置はたいていはミシンの裏側にあり、上の写真のように裏側にまで手を伸ばしてこのレバーを持ち上げると言うことになります。レバーで押さえを持ち上げることは出来るので縫うのには困らないと言えばそうなんですが、前回のようにカップ接ぎ部などのような細かい工程を縫っていて曲率の違う部分に入り、少しずつ布のストレスを取り除かなきゃと考えているときに片手を離してレバーを操作しなければならないと言うことは現実的にはとても大変なことで、両手で布を保持していられるニーレバーの有難さが痛感させられます。

 ところで以前に「重いミシン」を選んでと言うことを書きましたが、今回のニーレバーが絶対必要と言う話とここでリンクして来ます。それは膝を使ってニーレバーを押すと言うのはちょとした力が必要なので、軽いミシンだとニーレバーを押したつもりがミシン全体が持ち上がってしまいます。
 それを防ぐためにも重いミシンが良いと言うことに結びついて来ます。



 縫いを追及する工業用のミシンでは必ずニーレバーが付いています。写真は千鳥縫い工業用ミシンのニーレバーの例です。
        DSC_0329.jpg


 またロックミシンでは家庭用ではニーレバーが付いている機種はさすがに見かけませんが、下の写真は工業用のロックミシンの例で、ニーレバーではないですが足踏み式の押さえ上げペダルが付いており、両手を縫い生地に集中出来るように考慮されています。
        オーバーロックの押え上げペダル


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愛用のソーイング・マシン 5

前回は話が横路にそれてしまいました。本通に戻って今回は「ニーレバー」についてお話します。

       ニーレバー


 「ニーレバー」と言うのは「ひざ上げレバー」とも呼ばれますが、足のひざでミシンで縫う布を動かないように押さえつけている「押さえ」金具を上げる機能を持っているレバーのことです。
 上の写真を見ると右ひざのところに白い金属棒のようなものが見えますね。これがニーレバーです。右ひざを開くようにこのレバーを右方向へ押すと押さえ金具が上がり、布が自由に動かせるような構造になっています。

 なぜニーレバーが必要なのかについてまず解説しておかなければなりません。

 下の写真を見てください。これはブラジャーの縫製工程の中で一番重要な「カップ接ぎ縫い」工程を行おうとしているところです。
 上カップと下カップとを接ぎ合わせるのでこの縫いがまずいと見栄えが悪いだけでなくカップの容量が違ってしまうので商品の良し悪しを左右する大事な工程です。
 その縫い合わせる上カップと下カップとをミシンの押さえにセットしたところですがこの写真を見ると良く分かると思います。
 縫い合わせようとしている上カップと下カップのそれぞれのカーブが大きく異なっていて、ミシンの押さえ近辺では二つの布端が一致しているのに手前を見ると大きくズレています。カップ接ぎ縫い工程の難しさは非常に重要な工程であるのにこんなに曲率の異なったカーブ同士をうまく縫い合わせなければならない所にあります。

            上下カップのカーブの違い


 このようにカーブの異なる生地同士を縫って行ったらどうなるかを見てみましょう。
 上の写真状態から縫い進めて、半ばあたりのバストポイント位置に差し掛かったのが下の写真です。この辺りからカーブが違ってくるので、生地端を合わせて縫えるように上側になっている生地を下側にカーブに合わせたらこのように大きく波打ち、シワが生地表面に生じてきます。カーブが違うんだから当然そうなってしまいますよね。

 このように曲率の違うカーブ同士を縫い合わせなければならない場面は他でも色々なところで出て来ますが、これは一方または両方の生地に大きな「ストレス」がかかっている証拠です。布が「曲げられて痛い!痛い!」と言っているんです。それを「だまれ!」と言って無理に縫ってしまうとストレスが固定されてしまい、シワやパッカリングとして残ってしまいます。

   後半にはこんなにシワが

こうしたストレスを開放してあげるためにニーレバーがあるのです。


愛用のソーイング・マシン 4

お盆の期間が過ぎ、やっと喧騒が戻ってきました。静かなほうが良いと言いながら現代ではやっぱりある程度ザワザワしていないと落ち着かないものです。

二ーレバーの有無を確認


 前回の「ミシンの重さ」についてに続いて今回は「ニーレバーの有無」をランジェリーソーイング用ミシンの選定基準の2番目に挙げました。


 話が前後しますが、そもそもランジェリー制作用ミシンを選ぶという話をスタートするにあたってすぐにベルニナという家庭用ミシンのことから話し始めましたよね。でも余り無いことかも知れませんが自分の家が縫製工場だったりして工業用ミシンを偶然所有している場合だったらこんなややこしい話しは全然必要が無くて、その工業用ミシンを使いさえすれば悩まなくてもきれいに早く縫えるのです。

 一般にあるミシン(ソーイング・マシン)はほぼ3種類に分類され、1つ目は工業用と呼ばれるミシン、2つ目は職業用と呼ばれるミシン、そして3つ目は家庭用と呼ばれるミシンです。

 工業用ミシンは名前の通り生産工場で主として使われていて、(とっても)速く縫えてきれいに仕上がるけれど、取り扱いが難しいし置く場所も普通の家庭の中には違和感ありすぎだし高価だしで工場の人以外には適当とは言えません。

 2つ目の職業用ミシンは専門学校に行った人ならとってもお世話になったはず。手軽に使えて縫い目もきれいなんだけど、ランジェリー制作上で一番の問題は直線縫いしか出来ないこと。ランジェリー類は大なり小なりストレッチ性を効かすので直線縫いだけではちょっと役に立たない。

 そこで最後の手段が家庭用ミシンということになるんですね。これなら手軽だし価格も安目だし家の中での収納も楽だし、第一、たいていはジグザグステッチにも切り替えることが出来て機能としても問題ない。ただ、気になるのは本当に縫いを追及して造られた機種がどれかを見極める必要があることで、これはおもちゃでしょというような家庭用ミシンも中にはあるから今回の話題のように「ちゃんと縫える」家庭用ミシンの見分け方なるお話をしているという事になる訳です。


長くなってしまったのでニーレバーについては次回で。



愛用のソーイング・マシン 3

もう世間は完全にお盆休みモード。筆者の事務所の周りはいつもよりかなり人口が少なくなったよう。その一方で近くの新幹線の駅は通路が歩けない状態に!

   頑丈な土台



前回のブログでは「自分の使いやすいミシンを選んで!」と突き放した話し方をしましたがもう少し手がかりを話しておきます。この辺りは当方のランジェリーセミナーでは何度もお話しているのですがまずは

  「重いミシンを選んだほうが良い

と言う点があります。
 その理由は2つあります。一つは軽いとミシン全体が動いてしまい、縫っているうちにどっかへ行ってしまう事。もう一つは造りと耐久性の事です。

 前者は縫ってみるとすぐに分かりますが縫う側が落ち着いて仕事が出来ません。正確に縫わなくてはと思ってもそれよりもミシンをおとなしく定位置に留めておく方に気が行ってしまいます。大きいものや直線部分が多い縫い物ならそれほど気にならないのですが、小半径のカーブばかりのランジェリーソーイングでは生地をカーブ通りにひねっただけでもミシンが動いてしまって正確にどころの話ではありません。

 もっともこの点だけならミシン全体を何か固定具を使って机に固定してしまえば良いとも言えるのですが、後者については本体の基本的なものですから使う人がそれを補うことは難しいでしょう。これら2つはまったく別々の事ではなく、造りを効率化して軽量化するから自分で定位置に留まっておられず、どこかに行ってしまうという関係になるのでしょうか。
 とにかく縫い技術の巧拙もあるのでしょうが筆者の場合は絶対に重いミシンのほうを勧めるというか、安心して縫いに集中できます。


 その昔、オーディオ機器も重いものを選べという公式があった頃を思い出します。故長岡鉄男氏も良く「重いアンプを選べ」と推奨されていました。「重いアンプには底力がある」。重い イコール 電源トランスに金をかけている イコール ダイナミックパワーの差が出るという公式なのでしょう。バスレフ式のアルテックランシングのスピーカーはそれほど力の差が出ないが、密閉型のJBLでは力の差が明白に出るということです。
 筆者のミシンでもその底力を十分に楽しんでいます。



注)ベルニナ1240の本体の重さは10kgと記されていて、人気ある職業用ミシンと同レベルの重さがあります。工業用ミシンはヘッドだけで2,30kg位あるようでとてもかないませんが、一般的な家庭用ミシンは5~8kg程度でそれに比べるとかなり重いミシンに仕上がっています。
 写真はベルニナ1240の底面ですが梁が張り巡らされているのと、これらの基礎土台部分がすべてダイキャスト構造になっているために重く仕上がっており、それ故にしっかり縫えています。



愛用のソーイング・マシン 2

一年で一番今が暑い時期なのでしょうか・・。「根性で暑さを吹き飛ばせ!」などとは言っていられない暑さですね。

マニュアル・ミシン


 ラ・セレスで行っているランジェリーセミナーでも「どんなミシンを買ったら良いですか?」という質問を頻繁に受けるのですが、なかなか一言では答えられないと言うのが本音のところです。一応、セミナーの中では教科書的な話として「重いミシン、フットペダルが使えるもの・・」などとお話しているのですがこれらはあくまでも教科書的な、標準的な話であってすべての人にとって十分な答えとは言えません。

 なぜならば衣服を作るためのミシンとは私たちの手足となって働いてくれる道具なのですから、私たちの意のままに動いてくれるものでなくてはなりません。縫おうと思ったら適当な速さできれいに縫い始める、止まろうと思ったらスッと止まる、曲がろうと思ったらパターンの線通りに曲がってくれる「走る・止まる・曲がる」の基本がきちんとできるものでなくてはなりません。これは自動車に求められる基本機能と一緒ですね。今では自動車もファッション性で選ばれるようになりましたが「走り」を重視するならやっぱり「走る・止まる・曲がる」の3つの基本が決め手です。

 ミシンの話に戻ると、作品をきれいに早く縫い上げようと思った時にはこの3つの基本性能を上手に発揮できなければなりませんが、大切なのは「あくまでも操作するのはあなたです」と言う点です。操作する人が使いやすいものであれば仮にデータ性能が悪くてもスムースにきれいに縫うことが出来ます。ですから操作する人によって使い勝手の良さと言うものが違うために、一概に良いミシン、悪いミシンと言えないのです。

 自動車の場合だったら、誰でも簡単にうまく運転したいと思うなら現在主流のオートマチック車に乗るのが良いと思いますが、今でもわざとクラッチ付のマニュアル車を選ぶ人もいます。扱いにくいだろうと普通の人は考えますが、そういう人にとってはダブルクラッチを最高の楽しみと考え、わざとシンクロを外す人もいることでしょう。速く走る(縫う)のが目標ではなくなっている現在、楽しくうまくきれいに走る(縫う)場合ならば全自動のミシンを押し付ける必要は無くなっています。



 結論から言えば、「その人ごとに自分に一番合った(快適に)縫えるミシン」がありさえすれば良いのです。ですから最初の問いに対する答えは「あなたが一番縫いやすいミシンを選びなさい」ということになります。

 でもこの答えを聞いて満足する人はいないでしょう。具体的に何をどう選べばよいかが分からないからです。そうした不満、疑問に答えようとするために「ランジェリー創作に適したミシン(案)」というものをセミナーの中ではお答えしていると思ってください。つまるこれからお話しするランジェリー創りに適したミシンは上記のような条件の下にお話しているのであって、最終的には使うあなた自身が実際に試してみて永く友達として付き合えるかどうかを判断しなければならないということなんです。
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