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ミシン整備改造簿8

二本針本縫いミシンの特徴や概要は分かって頂けましたか?
いよいよ試縫いです!
縫い上がり


 ブラジャー縫製において二本針本縫いミシンを使う場合、たいていはアタッチメントという金具と一緒に使うことがほとんどです。この金具は特別に作製された規格で、ブラジャーに縫いつけられるテープや縫代などを思ったとおりに容易に加工できるような機能を持っています。

 例えば下の写真はカップ渡り部に良く使われるアタッチメントですが、2cm程度の巾にカットされた透明感のあるハーフトリコットテープを縫いつけながら押えて行くという工程を、二本針ミシンで1工程で加工してしまうために使われるものです。
ラッパ

 これらのアタッチメント類は最初に「特別に作製された」と書きましたように希望する縫い仕様によって非常に多くの種類があり、またその調整が微妙であるためほとんどオーダーに近い形で使われる例が多いようです。
セット

 そしてこのアタッチメントを使って縫ったのが一番上のブルーの生地に白いテープを縫い付けたものです。ブラジャーの場合では「縫代隠し」が一番の目的と言えますかね。下着では肌触りが大事なのでいくらタッチの良い生地を使っても縫代が厚くなって邪魔になりますが、その縫代の上を覆うことにより優しいタッチを産み出してくれます。

 肌に直接着けるから肌当りは良く、でも造形しなければならないから何枚も重ねた生地をしっかりと縫うというブラジャーにはこの二本針本縫いミシンが良く合っているんですね。

さあこれで二本針本縫いミシンは生き返ってきました!

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ミシン整備改造簿7

すみません。あわてていて写真を添付するのを忘れていました。修正しましたのでもう一度ご覧ください。 初期状態


 筆者が感じる二本針本縫いミシンの最大の特徴は「針送り機構」です。 一般のミシンではセットした布の下側に「送り歯」というギザギザがあり、それがミシンの回転に従ってボートのオール漕ぎのように針板面から顔を出してきたかと思うと前方に布を引っ掛けながら送り、送り終わると頭を引っ込めてまた元の位置へ戻ります。
 そしてその運動を継続的に行なうことによって布が送られ、ステッチが連続的に形成されるようになっています。

 大部分のミシンの布送り機構はこのように「送り歯で送る」のですが、この方法はシンプルで簡単な機構で出来る反面、その弱点は「布同士のズレ」が出やすい事が挙げられます。

 ミシンで縫うという目的は2枚(以上)の布をくっつける(縫い合わせる)事ですから、縫う際に送り歯の上には2枚(以上)の布が重ねて置かれているはずです。
 ところが送り歯が直接触れているのは一番下側の布だけで、その上の重ねられた布は摩擦抵抗の力で引きずられて送られているだけ、と言うことは縫いづらい布や滑りやすい布、そして複雑な縫い線カーブなどを縫う時には送り歯で直接送られている下側の布と、引きずられて付いていっている上側の布との間に少しずつ「ズレ」が生じて来、寸法が合わない、縫いジワ(パッカリングと言います)などの問題点が出てきてしまいます。
 そして二本針本縫いミシンが主として扱うのはこうした縫いにくい、布が厚い、しっかりときちんと縫わなければならない箇所であると言うことを考えると、一般のミシンのように下側の布だけを送り歯で引っ掛けて送ると言う機構では上手く縫えないという問題が出てきてしまうのです。

 そこで考えられたのが「針送り機構」です。これは簡単に言えば針が布を貫通した状態の時に布を送っているのです。
 今回の3枚の写真を見てください。一番上の最初に掲載した写真は縫う前の写真です。針はこれから下に下りて行く所です。
 二番目の下の写真は針が布を突き刺し始めた時のものです。布を上から押えている「押さえ」パーツの溝に対する針の位置を見ると、溝全体の右側4割くらいのところにあります。
縫い始め

 最後の三番目の写真は針が布から抜け出る直前の時です。同様に溝に対する針の位置はほぼ一番左側にあることが分かりますね。つまり二本針本縫いミシンは針が布を突き刺すと同時に下側の送り歯と共に布を前方に送り始め、針が布から抜け出ると布を送るのを休止すると言う一般のミシンの布送りのタイミングとは異なった動きをして、上下に重ねた布同士のズレが起きないようにしているのです。
縫い終わり

 本当に面白いミシンです。ちなみにこの二本針本縫いミシンは古いせいか、縫っている時の音も古風です。最新の本縫い系のミシンがすぅーと電車のように静かにスムースに動くのに比べ、このミシンはガシャガシャとゆっくりと重々しくまさに蒸気機関車のように針を進めるのが見ていてもとっても楽しいです。
 いつまでも元気に動いて!と声をかけたくなるようなマシンです。

ミシン整備改造簿6

二本針本縫いミシンの特徴その2です。クリエイターにはあまり関係ないことかなぁ?

     二本針本縫いミシン3


 筆者が感じる次の特徴は「水平釜」と言う点です。
 写真を見てください。針が二本あるのでそれとペアになって縫い目を作る釜も、そしてその中に組み込まれていて下糸を巻いてあるボビンも2つずつあるのは当然として、なぜかこの釜(そして釜と一体になっているボビンケース)が水平になっているのです。

 二本針本縫いミシン以外のランジェリー用本縫い系ミシン(「本縫い系ミシン」の説明がまだでしたね。後で解説します)の釜はすべて「垂直釜」になっています。
 (一本針)本縫いミシン然り、千鳥ミシン然り、スリーステッチミシン(3点あるいは4点千鳥ミシン)然りです。垂直釜のメリットは糸締りの良さ、つまり縫い目がしっかりと構成されることです。

 二本針本縫いミシンを使う主目的は縫い目をしっかりと押えるためだと書きました。それなのになぜこのミシンだけ水平釜?この点は以前からとても気になっていましたがまだ筆者は分かっていません。多分、整備性の良さを優先したためではないかと推測しています。

 前回のブログで記したように二本針の針巾は部品交換により変更する場合もあります。その時、針巾に合わせて2つの釜の位置も調整してうまく針糸を引っ掛けられるようにしなければなりません。
その調整の時に垂直釜だと調整がしにくいのではないか?
または垂直釜2つを回転させるための作動機構がすんなりと行かないためか?
5mm程度の針巾の所に釜を垂直に対向して設置すると下糸のボビンが取り外せない?

 筆者はこの二本針ミシンでワイヤーループを縫うたびにその疑問に思いをめぐらせています。


すみませんが、9月1日から7日まで休業させて頂きます。8日以降からはまた頑張って仕事しますのでご了解ください。


ミシン整備改造簿5

このところ毎日のようにブログをアップしていますがその理由は9月の1週目はまるまる休業するためです。その間はご質問にもお答えできませんのでご了承ください。

針巾変換パーツ


 前回で二本針本縫いミシンの「針巾」の話をしましたが、ブラジャーには4種類程度の針巾が必要、と言うことは二本針本縫いミシンだけでも4台必要!ということになってそ、れだけでギブアップしてしまうクリエイターの人も多いと思います。
 ただこの針巾は変更することも出来るんです。

写真を見てください。
 この写真には左右各3個ずつ2種類のパーツが写っています。向かって左側のパーツグループが5/16インチ巾、右側が1/4インチ巾用のパーツです。3つのパーツのうち真ん中が2本の針を固定するパーツ、左側は送り歯、右側はその送り歯の周囲を覆う針板ということになります。
これ以外に数パーツが必要なのですが、これらを適宜付け替え、調整ることにより5/16インチの二本針本縫いミシンが1/4インチの二本針本縫いミシンになったりするのです。

 ですから二本針本縫いミシンは1台あれば済むという事ですね。ちなみにこれまで紹介している二本針本縫いミシンは、現在3/16インチのパーツが付いています。一番使用頻度が高い規格です。

でもこうした取替え作業を行っているのは、うちのようなアトリエ場やクリエイターなどの人しかいないでしょう。こんな取替え作業を縫製工場でやっていたら時間がかかって生産時間がなくなってしまいます。
生産工場ではそれぞれの規格の針巾でセットした二本針本縫いミシンを全て揃えています。

ミシン整備改造簿4

二本針本縫いミシンはしっかり押えるために作られたミシンという解説をしましたが、そのためにいろいろ他のミシンに無い特徴があります。

      針間隔


一つは「針巾」。二本ある針の間隔の話です。
写真を見てください。二本の平行に配置された針が見えますが、この針同士の間隔の話です。

これが狭ければステッチが目立たずすっきりと仕上がりそうですが、一番の課題である「しっかり押える」のは苦手になります。

ブラジャーでは次の4種類の巾のミシンが一般的に使われています。

1/8インチ巾、3/16インチ巾、1/4インチ巾、5/16インチ巾

の4種類です。いずれも2本の針の間隔を示しています。

大小が分かりにくいので通分するとそれぞれ2/16インチ、3/16インチ、4/16インチ、5/16インチと言うことになり、1/16インチずつの差になっていることが分かります。1インチは2.54センチですから4種類はそれぞれ

1/8インチ = 2/16インチ = 0.32センチメートル  ・・カップ渡り縫い用
3/16インチ  = 0.48センチメートル  ・・縫代隠しテープ付け用
1/4インチ=  4/16インチ = 0.64センチメートル  ・・ワイヤーループ付け用 
5/16インチ  = 0.79センチメートル  ・・前中心縫代留め用

になります。

右端に書いたのは主用途ですが1/8インチの「カップ渡り縫い用」という用途は筆者としては大変異論があり、現実には使われていますが自分がランジェリークリエイターであると思う人は絶対この用途に使わないようにしてください。
理由はまた後日。


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